賃貸住宅を契約する場合、
その多くは『敷金・保証金』と言う名目で住宅を退去するまでの間、賃貸人にお金を預けるでしょ?
その理由は、「賃貸借契約期間中の賃貸人に対する一切の債権を担保する目的。」であり、
例えば、退去時に未払い賃料があれば預入れ金である『敷金・保証金』から差し引かれたり、
また、借りた部屋を汚したり壊してしまった場合に、修繕費用として差し引かれるんですね。
「そういう時のためにお金を預かります。」が本来の敷金・保証金の意味なんですよ。
ですから敷金・保証金は、何事もなければ基本的には返してもらえるものなんです。
ところが!!
実際にはそう簡単には返ってきませんねぇ。
昔ながらの悪い習慣もあり、『敷金・保証金』はほとんど返ってこないことが多いようです。
いろいろ理由をつけられ仕方なくというか、そういうもんなのか・・・?で、
借りる側の弱みに付け込んで(ちょっと乱暴かも?)が実情のようです。
課外授業料?としてやむなく支払って、
大学以外で授業料を取られるとは思ってもみないことでしょう。
クリーニング費用、何某補修費用、何某交換費用等の名目で敷金から差し引かれ、
多少でも返ってくればまだいいほうで、
ひどい場合には敷金・保証金ではまかないきれず、別途請求されるということも・・・
業界としては、そういう体質を改善していこうという動きは確かにあるようです。
ごく一部でしょう。『取れるとこから取る!』という発想は・・・
何故そういうことが起こるのか?
悪い慣習も理由のひとつですが、他の要因として借り手側の認識不足が考えられます。
できる限りの注意を払い丁寧に使用していたにもかかわらず、日常生活をおくる上で
当然発生する程度の汚れ・キズ等の理由で不当な修繕費の請求を受け入れていたからです。
本来、自然に起こり得る程度の汚れ・キズに対しての債務は、賃料に含まれているものです。
二重に義務を負う必要はありません。
もっと敷金・保証金の意味(定義)を認識し、慣習だからと諦めず、借りている立場とかの
負い目をもたず、対等に権利・義務を主張する必要があるのではないでしょうか?
実際に賃借人が負う義務を考えてみます。
1.賃料の支払義務
2.賃借権の譲渡及び転貸の禁止
3.賃借物の保管及び返還の義務
ひらたく言えば、家賃は払ってくださいよ。部屋を勝手に人に貸さないでよ。
部屋は普通に使ってくださいよ。契約が終わったら返してね。てな感じですかね。
当たり前のことばっかりでしょ?
極端な話、これを遵守していれば預けたお金は返ってくるのです。
ただこの中に明確でない部分を多く含んだ項目があり、
賃貸人・賃借人それぞれの認識にずれが生じるためトラブルの根源となってしまう文言が、《賃借物の保管義務》つまり、普通に使ってよ。という部分です。
普通に・・・って人それぞれ価値観や感性が違うので難しいですね。
例えばお風呂の掃除は毎日が普通という人、いやいや週一だろ?
なにをおっしゃるウサギさん!月一ですよ。と人それぞれ・・・
ここで重要なのは、毎日でも月一でもありません。
『普通に手入れをしていれば風呂場にカビが生えることはない、
カビが生えるような手入れでは十分な保管義務を果たしたとはいえませんよ』(判例)。
で、掃除・手入れの方法(善管注意義務・注1)が十分ではなかったという事に繋がるケースもあり、
そして浴室ユニットのクリーニング費用を請求
(原状回復義務・注2「この場合原状回復義務というより損害賠償義務が妥当」)されることに・・・
こう考えると神経質になってしまいそうですが、日常生活をしていくうえで
どうしても仕方のない自然損耗と、注意を払うことで防げるであろう損害賠償債務
の位置づけを理解し、《賃借物の保管義務》を励行すればいいかと思われます。
| 注1 善管注意義務 |
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賃借人は賃貸人に対して、賃借物を「善良なる管理者の注意」をもって保管する義務を負います。
その状況に応じて社会通念上要求されると考えられる程度の注意義務という意味です。
賃借人がこの善管注意義務に反して(不注意、管理・使用方法が悪いなど)、
賃借物を汚したり、壊した場合、賃貸人に対する債務不履行となり、損害賠償義務を負うことになります。
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| 注2 原状回復義務 |
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原状回復義務の定義は、一般に認識(賃貸人に有利な)されているものではなく、
単に、「賃借人が賃借物(部屋)の中に設置した家具やエアコン等を取り除く」です。
つまり、古くなって汚れたクロスなどを張替え、入居した当時の新品の状態に戻すという意味ではありません
。
残留物などがなく次の入居者が入居できる状態を言います。
但し、この原状回復義務を怠った場合には、債務不履行により損害賠償義務を負います。
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ここで気になるのは《善管注意義務》にある
「社会通念上要求されると考えられる程度の注意義務」を、どのように捉えるかは
個人差があり、またケースバイケースといった曖昧なところも多々ありますが、
少なくとも借り手側の姿勢として、賃借物の対価としての金銭の支払はあるものの、
「金さえ払えばどう使おうと勝手」ではなく、客観的に期待される程度の注意を払うことで、
ここで言うところの善管注意義務は履行できるものではないでしょうか?
もう一方、善管注意義務を履行したとして《原状回復義務》が残るわけですが、
基本的には
定義 にあるように 残留物を残さず明け渡せ
ば済むことですから、
故意、過失等による汚損・毀損等がなければ問題ありません。
ただ、修繕特約・原状回復特約が契約書に記載されている場合、
それぞれの内容によっては不利益となることがありますので、契約時には注意が必要 です。
結局、最も重要な《賃借物の保管義務(注1・注2含む)》の知識をもって
保管・使用のうえ、退去時の交渉に臨むことが敷金・保証金返還につながると思います。
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